従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
親事業者から身を守る【下請法】とは?
スタッフの荻野です。
気温が25度を超える日が増えてきました。これから湿度も上がることを考えると、暑さが苦手な私には厳しい時期となってきます。今年から東京都少年サッカー夏の公式戦7、8月を全面的に禁止するというニュースもありました。
5月より、熱中症から身を守る対策が必要とのことですので皆さまお気をつけ下さい。
さて、今回は親事業者から身を守る【下請法】についてお話したいと思います。
下請法とは、大規模な親事業者から中小規模な下請事業者を守るために定められた法律です。
主に金銭的な面などのトラブル防止のための法律であり、対象となる4つの取引について11の禁止行為を定めているものです。
※建設業は設計・運送以外基本対象となりませんが、代わりに「建設業法」にて下請法に近い法律が存在します。
先日共同通信社より、「大手メーカー金型製造委託で、下請け8割超に不当負担」というニュースがありました。これは大手メーカーから金型の製造を委託されている下請企業の8割超で、金型の保管費用を不当に負担させられていたということで、後述する②製造委託の≪不当な経済利益の提供要請≫に該当し、下請法違反の恐れがあるというものです。
また、下請法違反として過去の事例で最も多いのは、≪不当な経済利益の提供要請≫に該当する「協賛金・協力金等の名目で、下請代金から差引かれていた」というケースでした。
では、対象となる取引のケースや禁止行為等を簡単に見ていきましょう。
【下請法対象となる4つの取引】※基本的には『下請』が前提です。
①情報成果物作成委託
情報成果物の作成・提供を行う事業者が他の事業者にその作成を委託する取引のこと
(例)HP制作会社がコンテンツ作成等を委託する取引や、建設工事業者が設計を委託する取引
②製造委託
物品販売・製造を行っている事業者が他の事業者に【仕様・内容等を指定して】物品製造・加工を委託する取引のこと
③修理委託
他の事業者に物品の修理を委託する取引のこと
④サービス提供委託
ビルメンテナンスや運送などの各種サービスを提供する事業者が請け負っている役務提供を他の事業者に委託する取引のこと
【適用条件】
②・③:親事業者の資本金が3億円以上→下請事業者の資本金が3億円以下
親事業者の資本金が3億円未満1千万円以上→下請事業者の資本金が1千万円以下
①・④:親事業者の資本金が5千万以上→下請事業者の資本金が5千万以下
親事業者の資本金が5千万未満1千万円以上→下請事業者の資本金が1千万円以下
【親事業者の11の禁止行為の内一部抜粋】
・≪受取拒否≫
下請事業者に責任がない場合の、物品などの受取を拒むことを禁止
・≪下請代金の支払遅延≫
60日以内の定められた期日までに下請代金を支払う義務がある
・≪下請代金の減額≫
発注時に定められた金額から一定額を減額することを禁止(値引きや協賛金)
・≪不当な経済利益の提供要請≫
親会社の利益のために、下請け事業者に現金やサービスなどの利益を提供させることを禁止
・≪報復措置≫
下請法違反行為を知らせたことによる、取引数量削減や取引停止などの報復を禁止
※詳細は、https://www.jftc.go.jp/shitauke/index.html 公正取引委員会HPを参照下さい。
平成28年12月に見直しが行われルールが厳格化された下請法ですが、これによりさらなる厳格化も予想されます。
これを機に一度、
【親事業者の立場】から、違反項目がないか
【下請事業者の立場】から、不当な減額をされていないかどうか
を確認されてはいかがでしょうか。お互いの身を守ることに繋がるかもしれません!!
下請法は対象となる取引に該当するか等の判断が非常に複雑です。判断に迷われる場合は、下記サイトの相談窓口より相談されてみて下さい。
下請法相談窓口:https://www.jftc.go.jp/soudan/madoguchi/kouekitsuhou/sitaukemadoguchi.html
建設業法相談窓口:http://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/index00000006.html