従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
2019年相続法改正施行スタート!
スタッフ伊藤です。
今年も早いもので、半分が過ぎようとしています。
今日は、久しぶりに梅雨の合間の晴れとなり、厳しい暑さになりましたね。
しかし、一転明日以降は、梅雨空が続くようです。
寒暖差激しく、皆様におかれましては体調などくずされていませんでしょうか。
本日は、昨年40年ぶりに大きく見直されました改正相続法の一つである預貯金の仮払い制度が
2019年7月1日より施行されるにあたり<預貯金の仮払い制度>についてお伝えいたします。
<預貯金の仮払い制度>
預貯金口座は名義人が亡くなると、口座が凍結され預金の引出しができなくなります。
仲のいい家族であればすみやかに遺産分割協議を行い、預貯金口座の凍結を解除する
こともできますが、相続トラブルになっており、協議がまとまらない場合は預金の引出し
にかなり時間がかかることもあります。
そのため、葬儀費用、被相続人の入院費用や施設代金など相続債務を残された家族が変わって
支払うこととなり支払に困るという問題が多くありました。
今回の預貯金の仮払い制度により、相続人の資金需要に対応することができるように
遺産分割前にも預貯金債権のうち一定額については、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関にて
払戻しができるようになりました。
☆単独で引出しできる一定額について
例)被相続人(母):相続開始時預貯金残高 600万円
相続人:長男、長女の2名
【相続開始時の預貯金額×3分の1×その共同相続人の法定相続分】
600万円×1/3(200万円)×1/2(100万円)
上記の計算より、長男が家庭裁判所の判断がなくても単独で引き出しできる
金額は100万円となります。
ただし、上記計算式で算出した金額の範囲内であれば自由に引き出せるわけではありません。
改正法では、金融機関ごとの上限金額が定められております。
その上限額は150万円とされています。
例えば、A銀行に600万円、B銀行に1200万円の預金があり、長男が払い戻しの請求を
した場合、A銀行からは100万円、B銀行からは150万円(上限額)の仮払いを受けることが
できる計算となります。金融機関が複数あれば、それぞれの口座から上限額まで引き出せます。
また、この仮払いを受けた場合は、その金額分を遺産分割の際に相続額から差し引かれる
こととなります。
この新制度は、裁判手続きが不要なことや費用と時間が節約できる点ではメリットとなりますが
引出し額に上限があることにより、とりあえずの生活費や資金は確保程度となることがデメリット
ともいえます。相続直後のお金が必要なときに、遺族が困らないように、分割協議の必要
がない保険金、家族信託などさまざまな対策をしていくことを考えておいた方がいいかも
しれないですね。