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2022.06.01
いきなり税務調査?! その時取るべき対応とは?
税理士法人FLAIRでございます。無予告で税務調査が来たとき、どのようにすればいいでしょうか。今回は、無予告で税務調査が来たときの対応方法やどのような企業が無予告の税務調査の対象になりやすいのかを解説します。
税務調査が行われる前には、原則として納税者に税務調査を行うことについての通知が行われます。これは、国税通則法第74条の9に定められている事項です。
ただし、税務代理人がおり、税務代理権限証書において事前通知は税務代理人に対して行われることに同意している旨を記載している場合は、税務代理人に対して事前通知が行われます。
事前通知は電話で行われることが一般的で、税務調査を行う旨のほか、税務調査の日時、調査の対象期間などが納税者又は税務代理人に伝えられます。税務調査の日時は、納税者の都合も考慮に入れたうえで調整してもらえることがほとんどであり、多くの場合、事前通知から税務調査までは2~3週間程度の猶予が与えられます。
国税通則法では、税務調査を行う前には事前通知が必要であることを定めている一方で、事前通知を必要としないケースについても定めています。したがって、場合によっては事前通知なしにいきなり税務調査官がオフィスやお店に訪れ、税務調査を行う可能性もあるのです。
国税通則法第74条の10では、「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合」には事前通知の必要はない旨が示されています。
つまり、事前通知をすることで帳簿の改ざんや証拠の隠滅など不正な行為が行われる可能性があり、正確な課税額の把握や適正な調査を実行できないおそれがある場合は、事前通知なしにいきなり税務調査に入ることが法律で認められているのです。
無予告で税務調査が来た時の対応方法のポイントを解説します。
税務署の調査官を事務所や店舗の中に通した時点で、税務調査に協力する意思があるとみなされて、概況調査(聞き取り調査)が始まる可能性が大きいです。
そこで、無予告の税務調査については、調査官を事務所や店舗の中に入れない方が、事前にトラブルを防ぐことができます。応接室などの「別室」に案内し、調査官の身分証明書を確認後、すぐに顧問税理士に連絡することが必要です。
無予告調査には、通達上の要件があります。その要件を正しく理解している調査官が少なく、実質的に「不当な調査」に該当する場合もあります。無予告調査の場合、まず調査官に、その理由とその根拠を聞くということが大切です。顧問税理士に連絡いただければ、その場で(電話で)、調査官と対応することも可能です。
そもそも、無予告調査の目的は、
●現況調査を実施する。
●現物確認調査を実施する。
●質問応答記録書にサインさせる。
ことです。
現況調査とは、調査官が金庫や机、ロッカーの中を確認(現況調査)し、または、パソコン内のデータを確認することです。現物確認調査とは、調査官が棚卸資産や貯蔵品、固定資産等の会社の財産を実際に現場に行って確認することです。現金監査する場合もあります。
質問応答記録書とは、調査官が「調査時に納税者から得た回答により重加算税の対象となるとの心証を得たが、客観的な証拠資料がない。」といった場合、その回答内容を記録し、納税者にサインをさせることで、課税の証拠資料となるものです。
質問記録書は、法律上、必ず作成しなければならない文書ではありません。納税者がサインする義務はありません。ご注意ください。
税務調査は事前通知を行うことを原則としています。無予告の税務調査が行われるのは、前述したように、事前通知によって調査に弊害が生じる可能性がある場合のみです。
無予告で税務調査が入りやすい業種には特徴があります。それは、現金を中心とした商売を行っている業種です。具体的には、飲食業や小売業、美容院・理容院、サービス業などが対象となりやすいと言われています。
現金商売は、客から現金を受け取っているため、銀行の振込とは異なり、入金や出金の記録が残らず、お金の流れを後追いしにくいという特徴があります。特に、個人客を対象とする商売では、レシートや領収書の発行を必ず求められるわけではないため、代金を受け取ってもレジを打たなかったり、領収書を発行しなかったりすれば、その記録がどこにも残りません。
もし、事前に税務調査が入る旨の通知があれば、税務調査当日までに売上等を調整できてしまう可能性があるのです。
顧問税理士と連絡とれるまでは、対応はしないようにしましょう。「顧問税理士と連絡をとるから、少し待ってください」と伝えてください。
ご注意いただきたいのは、無予告の税務調査は、その日に必ず受けなければならない、というわけではありません。正当な理由があれば日程変更が可能ということです。社長としても今日1日なにも予定がない、ということは少ないでしょう。顧問税理士としてもすぐに対応できるとは限りません。
「これから外出の予定がある。」などの営業上の理由を伝え、改めて日取りを決めて、出直してもらうことは可能です。なお、日程調整は顧問税理士が行います。
税務調査の対応は、税理士の力量によって大きく変わってきます。税理士法人FLAIRは、税務調査を優位に進める交渉力をもっています。無予告の税務調査を含め、「正しく申告しているか不安・・・」「事前対策はどうすれば良いだろう・・・」などの不安がありましたら、是非お気軽にご相談ください。