従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
小規模企業共済-社長の自助・共助・公助-
皆様こんにちは、山田です。
菅総理は自民党総裁選の時から自らの政策理念として「自助・共助・公助」を掲げて第99代内閣総理大臣に就任しました。
金融庁が、公的年金だけでは老後資金が2,000万円不足する可能性を指摘する中で、自助という言葉が注目されますが、経営者個人はどのように資産形成をしたらよいのでしょうか?
1.税制優遇制度
社長の資産形成を考える場合に利用できる税制優遇制度には、主に次の3つがあります。
(1)企業型確定拠出年金(企業型401k)
(2)小規模企業共済
(3)つみたてNISA
(1)の企業型確定拠出年金は、会社で導入するため社員も利用でき、社会保険料負担の軽減も図ることができる制度です。
過去のブログで何度か紹介しているので、そちらをご参照ください。
「将来の資産形成」:https://www.fukushima-ta.jp/blog/tac/4306/
(3)のつみたてNISAは、新規投資額で毎年40万円が上限で非課税投資枠は20年間で最大800万円となっているため、目標額を2,000万円とすると他の制度との併用も検討が必要です。
金融庁「つみたてNISAの概要」:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html
今回は、社長が老後資金作りに利用できる制度の1つとして、(2)の小規模企業共済を紹介します。
2.小規模企業共済
(1)制度の概要
・小規模な個人事業主、中小企業の経営者や役員のための、積み立てによる自助の退職金制度
・常時使用する従業員の数が20人(商業・サービス業は5人)以下の個人事業主または会社等の役員が加入可能
・掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択可能
・国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営
・在籍人数は約147.5万人、資産運用残高は約9兆7,982億円
・共済金受給額の平均は1,083万円、共済金受給者の平均在籍年数は約19年
(2)メリット
①掛金を所得控除
掛金は、全額を小規模企業共済等掛金控除として、所得税・住民税の課税対象となる所得から控除できます。
(例)課税所得400万円、掛金月額3万円の場合、所得税と住民税合計で109,500円の節税
中小機構「掛金全額所得控除による節税額一覧表」:https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/installment/index.html
②共済金は退職所得(分割受け取りの場合は雑所得)
一括受け取りの共済金は、退職所得として取り扱われ、課税が優遇されます。
③貸付制度
掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)で借入れをすることができます。利率年1.5%。
(3)デメリット
①解約方法により元本割れのリスク
満期はなく、請求事由は原則として会社が解散(個人事業主の場合は廃業)した場合、65歳になった場合、役員を退任した場合です。
掛金納付月数が240か月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ります。
②利回りが低い
予定利率は1%となっています。
企業型確定拠出年金やつみたてNISAと違い、運用商品が選べないため高い利回りは期待できません。
中小機構「共済金の額」:https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/proceed/index.html
いかがでしょうか?
小規模企業共済のメリット・デメリットを把握し、確定拠出年金やつみたてNISAとも比較して、ご自身に合うと思われたものからご利用になるのがよろしいと思います。
また、個人の資産形成には事業の成長発展も重要です。
社長のライフプランを反映した経営計画の作成など、福島会計がお手伝いいたしますので、ご相談ください。