• 2022.03.16

どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし

 

 

福島会計の荘です。

表題の報酬に係る源泉所得税に関して、お客様よりしばしばご相談を頂きます。

今回は最初に簡単な概要と、よく頂くご質問内容について説明していきたいと思います。

 

ここでテーマにしていくのは一般的に「外注」「業務委託」といった報酬に対する源泉徴収ですので、そもそも「外注」としての契約の是非や業務の実態について疑問が出てきましたら、給与との違いを記載したこちらの記事もぜひご参考にしてください。

https://www.fukushima-ta.jp/blog/extra/7709/

 

1.源泉徴収が必要な報酬とは?

 

個人(非居住者を除く)に対しての報酬について、源泉徴収をしなければならない対象は以下のように定められています。

 

イ 原稿料や講演料など

 ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

ホ 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

※非居住者の定めは別途ありますが、ここでは割愛します。

 

この中で支払が多く主に問題になるのはイやロと考えられ、今回は特にイの部分を念頭に置いて説明していきます。

 

上記にあるように、この対象は個人であり、例えば弊社福島会計のような税理士法人に対しての支払には源泉徴収は発生しておりません。

細かい事項はありますが、ここで「知らなかった!」という方は、いったん「国内の個人の士業や外注さんに対して、何か報酬を支払うときには、確認が必要」とご認識頂いてよいかと思います。

 

2.具体的な内容は?

 

1イの原稿料や講演料など、という範囲には例えば以下のようなものが含まれます。

・原稿料(試験問題の採点料などは含まれない)

・書籍等の編纂または監修

・雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための写真の報酬

・グラフィック、パッケージ、ディスプレイなどのデザイン料

・講演を依頼した場合の講師に支払う謝金

・翻訳の料金

 

こうしたものに該当する場合は、源泉徴収を行うことが必要なのですが、

・今まで取引があって、源泉徴収をなんとなくしていなかったが業務実態から見て実は要否があいまい

・請求書にも源泉徴収のことが書いていないし、先方からも言われてないので分からなかった…

このようなケースがよく見られます。

請求書への源泉徴収の記載は、通例としてはありますが特段定めはないので、記載がなくても本当は必要だった!ということはままあります。

昨今はクラウドソーシングサービスも増え、支払側受取側お互いになあなあで済ませてしまうということも見られますが、「必要かも?」と疑問が生じたら迷わず税理士に聞いて判断を仰ぎ、適宜取引先とすり合わせをするのがよいと思われます。

 

3.計算方法や手続きは?

 

⑴源泉徴収税額の計算方法

 

上記2のように請求書に明確に内容と源泉徴収税額の記載があれば、そのまま記載通りに徴収し支払えばよいですが、支払う側が計算する場合は

支払金額により

100万円以下の場合 A×10.21%

100万円超 の場合 (A-100万円) × 20.42% + 102,100円

(1円未満切り捨て)

となります。

この支払金額の部分ですが、計算にあたってはいったん

・取材費、車代などの名目で支払ったものも計算対象の支払金額に含める。

・交通費も原則含める

(※支払者が直接ホテルなどに支払った場合は含めなくてよい)

・原則として消費税込で計算する

(※消費税等の額が本体金額と明確に区分されている場合には税抜でもよい)

ここをおさえて頂ければよいかと思います。

 

⑵手続きの流れ

 

計算し徴収した源泉所得税ですが、こちらは支払った月の翌月10日が納付期限となっています。給与に係る源泉所得税について納期の特例(1月と7月にまとめて納付)としている場合でも、報酬については特例がないので別途毎月対応することとなります。

(ただし士業分については給与分と同様納期の特例が適用できます)

 

年間通しての流れは

支払が発生したら源泉徴収後の金額を支払う→翌月10日までに、支払った報酬と源泉所得税の額を集計して納付する

というサイクルがあり、

1月頃には、取引先より昨年分の報酬を集計した支払調書の発行の希望があれば、年間集計したものをまとめて渡したり、ここでは割愛致しますが税務署へ提出する「法定調書」の提出範囲に該当する場合はそちらも対応する、ということになります。

 

法定調書については、こちらの記事もご参照下さい。

https://www.fukushima-ta.jp/blog/management/7669/

 

納付手続きについては、対象のものがあれば毎月対応しなければなりませんので、紙の納付書ではなく電子納税が便利です。

参考までに、電子納税の一つである「ダイレクト納付」について、少し古いものですが弊社ブログと、e-taxのHPを載せておきます。登録しておけば簡単な操作で毎回即時でも口座振替ができます。

https://www.fukushima-ta.jp/blog/tac/5289/

https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/tetsuzuki4_1.htm

 

いかがでしたでしょうか?

概要や一連の手続きの流れについてご説明しましたが、細かな判断は難しいところも多く、実際には税理士に相談しながら源泉徴収漏れ、納付漏れなどがないように対処していく必要があります。

ご不明点がありましたら、弊社まで遠慮なくお問い合わせ下さい。

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