業務上横領が発覚したらどうする?どうなる?
2021.06.09
事業承継補助金の公募が始まりました!
こんにちは。
税理士の福島でございます。
日本の中小企業経営者の高齢化が進んでおり、今後後継者の確保が困難であること、相続税の負担の問題などから、企業の廃業が増え、経済が停滞する恐れがあることから、国が本腰で事業承継対策を講じています。
相続税の負担の問題とは、会社オーナーの保有する中小企業の株価の問題です。
事業承継を円滑に行うためには、後継者へ株式を集めなければなりません。
株価が高ければ、生前贈与であれ、相続であれ、後継者へ株式を移動する時に税金が発生します。
非上場株式は市場で流通していないので換金しづらいのにもかかわらず、税金を負担する際には現金が必要になります。
また後継者だけが相続人でしたらまだ良いのですが、相続人が2人以上いるような場合には、後継者以外の相続人に現金を渡すことで、株式を後継者に集中させる必要があったりもします。
このように事業承継は資産承継の問題でもあるのですが、そのためこの様な場合の税負担の軽減等、承継時の負担を軽減する事業承継税制が今年度抜本的に拡充されました。
この制度は平成20年から始まりましたが、当初は厳しい要件があり、なかなかこの制度が利用されてきませんでした。
そこで平成29年度税制改正で贈与税は現経営者から後継者に発行済議決権株式総数の2/3までを一括贈与した場合に猶予、免除され、相続または遺贈によって後継者が取得した自社株式の80%部分の相続税額が猶予・免除されるとされました。
贈与時の納税猶予と相続時精算課税制度の併用が可能にもなりました。
また雇用の8割を事業継続期間(5年間)中維持しなければならない等の要件も緩和されたので、非常に使いやすくなりました。
これが原則でこの制度は存続しますが、今年新たに10年間の特例が創設されました。
新しい事業承継制度<特例>と以前<現行>の事業承継税制を比較すると、
①納税猶予対象株式
発行済議決権株式総数の2/3
↓
取得した全ての株式
②納税猶予額
対象株式に係る相続税80%(贈与税100%)
↓
対象株式に係る相続税100%(贈与税についても100%)
③被承継人の要件
先代経営者のみに限定
↓
先代経営者以外からの承継も可能
④後継者人数の拡大
代表者は後継者1名
↓
後継者は最大3名まで拡大
(代表権を有しているものに限る。また複数人で承継する場合、議決権割合の10%以上を有し、かつ議決権保有割合上位3位までの同族関係者に限る)
⑤相続時精算課税
推定相続人等後継者のみ
↓
推定相続人等以外も適用可
⑥雇用確保の要件
贈与、相続時から5年平均8割維持が要件
↓
8割を下回った場合でも継続可能
但し都道府県に理由を記載の上、提出する義務
⑦株式の譲渡・合併・解散の場合の納税額
当初の納税猶予額を納付
↓
一定の要件を満たした場合に限り、当初の納税猶予額を上限とし、その時点で再計算した金額が当初納税額を下回った場合、差額は免除
となります。
この制度は平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に、事業承継計画を認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成して各都道府県に提出し、認定を受けた場合に適用される制度です。
そして平成39年12月31日までに株を一括贈与し、特例承継計画を実施する必要があります。10年間の特例と言っても注意が必要です。
上記の制度はその後何年も先に先代が亡くなっても相続時に特例が受けられるという、かなり使い勝手の良い制度になりましたので、相続税の負担に頭を悩ませておられた経営者の方は検討してみたらいかがでしょうか?
ポイントは提出期限は5年間に限られているので、すぐに非上場株式等を後継者に贈与する予定がなくても、まずは計画を提出しておくことです。
計画提出後に贈与しなかったとしても罰則はありませんし、その場合には現行の制度が適用になります。
もう一つ、事業承継は事業を継続していく可能性と必要性を見極め、経営権の承継という側面もあります。
経営者の交代をきっかけとして新たな取り組みを行う事業者に対し、その取り組みに必要な経費を一部補助してくれるのが「事業承継補助金」です。
新たな取り組みとは、「販路拡大」「新市場開拓」「生産性向上」「事業の活性化」に該当するものになります。
例えば、
・新商品の開発、生産
・新サービスの開発、提供
・商品の生産、販売にかかるシステム等の導入
・新サービスの提供にかかるシステム等の導入
に対し、事業規模に応じて対象となる経費の2/3以内、または1/2以内で補助上限額は500万円(または375万円)となっています。(上限額、補助率等の詳細は事業承継補助金事務局に確認するか、認定経営革新等支援機関にお問い合わせしてください)
今回公募された後継者承継支援型の公募期間は平成30年4月27日から平成30年の6月8日までになります。
以上、どちらの制度もその後報告書の提出等で認定経営革新等支援機関と長いお付き合いになる制度なので、スポットでの対応は難しいと思われますので、普段から支援を受けている会計事務所か、事業承継や相続に強い税理士にご相談するのが良いと思います。
経営者の思いを汲み取り、円滑に事業を引き継がせ、会社の継続、発展のご支援をしていくために、弊社もこれらの制度をうまく活用しながら経営者の方の課題解決に取り組んでいきたいと思っています。
認定経営革新等支援機関として、補助金の採択例も豊富にある福島会計にご相談ください。