• 2023.11.28

遺言書の書き方によって相続税が変わる?遺言書と相続税の関係を解説!

 

相続税とは、相続や遺贈により取得した財産価額の合計額から債務・葬式費用を差し引いた課税価格が基礎控除額を超える場合に、その越えた部分に対して課せられる税金です。

 

基礎控除額を越える見込みであっても、時期尚早とお考えになる方が多く、対策をとられていないケースが多いようですが、早めに対策を行うことで、相続税額の負担を軽減できたり、相続に伴うトラブルを防止できるケースもありますので、早めに動かれることをお勧めいたします。今回は、遺言書を使った相続対策について、ご紹介させていただきます。

 

 

遺言書の書き方によって相続税対策ができるのか

 

遺言書とは、人が亡くなる前に、遺産の分け方や希望などを書き記した書面で、法的な効力をもつ書類のことを言います。被相続人が生前に自分の財産を、誰に、どれだけ残すか、という意思に法的効力を持たせるために作成するものといえます。

また、遺言書には、以下の3種類があります。

 

・自筆証書遺言・・・名称のとおり自分(自筆)で作成する遺言書。

          費用もかからず、手軽に作成できる反面、要件を満たさず、無効に

          なるケースもある。

 

・公正証書遺言・・・専門家を交えて作成する遺言書。

          公証役場の公証人に遺言内容を伝え、公証人によって作成されるため

          確実な効力を有する。

          作成時には、2人の証人が必要となる。

          (証人になれるのは、弁護士や司法書士といった法律職)

 

・秘密証書遺言・・・自筆証書遺言と公正証書遺言双方の性質をもつ遺言書。

          自筆で作成した遺言書を封緘し、公証役場に持ち込み、公証人と証人2人に遺言書を提出。                                                               

          遺言書を封緘した封筒に公証人、証人、遺言者本人が署名・押印をするが、

          内容のチェックは行わない。

       

 

いずれの遺言書も、あくまで残された財産を誰に引き継ぐかを書き記した書面であるため、遺言書を作成すること自体で相続税が抑えられることにはなりません。

しかし、被相続人と相続人との関係であったり、誰が財産を引き継ぐかによって、相続税の金額は変わることはあります。

 

遺言書を作成する場合には、相続税額も意識した遺言書の作成が効果的です。

 

書き方①二次相続まで考慮した対策を行う

 

夫婦のどちらか一方の方が亡くなってしまうことを一次相続といい、その後残された方が亡くなってしまうことを二次相続といいます。

 

一次相続の際、「全ての財産は妻に相続させる」といった遺言書を残した場合、一次相続時には、相続税の配偶者控除が適用され、相続税を抑えられることになります。しかし、二次相続が発生した際には、一次相続で配偶者の方が取得した財産は、全て二次相続に係る相続税の対象となります。

 

二次相続の際には、一次相続で相続人であった配偶者の方が被相続人となるため、基礎控除額は減少し、結果として二次相続に係る相続税は割高になってしまうことがあります。

 

特に配偶者の方も一定の財産を所有している場合などは、その可能性が高まります。一次相続の際に配偶者の方が相続する財産を調整することで、二次相続も含めた負担を抑えることができますので、遺言書を作成する際には、注意したいところです。

 

書き方②特例を利用して相続税対策を行う

 

相続税法には特定の相続人が特定の財産を相続により取得した場合には、相続税が低額になる特例が設けられています。

 

この特例を利用するためには、遺産分割協議が成立している又は遺言書により誰がどの財産を取得するか決まっていなければなりません。

 

そこで特例の対象となる財産を、特例を受けることができる相続人に対して引き継ぐことを遺言書に定めることによって、相続税の負担を抑える方法です。

 

相続税の特例

相続税の特例については、以下のようなものがあります。

内容や要件について、詳しくは国税庁HPをご確認ください。

 

・配偶者税額軽減の特例

 No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁 (nta.go.jp)

 

・小規模宅地等の特例

 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁 (nta.go.jp)

 

・農地等の納税猶予

 No.4147 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例|国税庁 (nta.go.jp)

 

なお、これらの特例を利用する場合であっても、上記⓵二次相続まで考慮した対策 にも留意するようにしましょう。

 

遺言書を作成する際は遺留分も考慮する

 

また、遺言書を作成する際に気をつけなければならないのが、遺留分です。

遺留分とは、「相続人に認められた最低限の金額を相続できる権利」のことです。

 

最低限相続できる権利になりますので、被相続人が一切遺産を譲らないと決め、他の相続人等に財産を生前に贈与したり、遺言書にその旨を記載したとしても、遺留分は認められることになります。その結果、遺言により財産を取得した相続人等が、当該遺留分相当の金銭負担を求められ、実際に支払わなくてはならない事態が発生することも考えられます。

 

また、金銭を相続により取得していればよいですが、不動産や有価証券しか相続により財産を取得していない場合には、その清算のために、相続人が自身の財産を取り崩したり、相続により取得した不動産を売却して金銭を調達する必要が生じてしまいます。その際に譲渡所得が発生し、所得税の負担が生じることも考えられます。

 

せっかく財産を譲ってもらっても、別の負担が生じてしまっては本末転倒になってしまいますので、予め相続人の遺留分を確認し、後々、争族とならないように配慮することも重要といえます。

 

まとめ

 

遺言書を書くことで、ご自身の望む形で財産を分けることができ、家族間の争いを回避することも可能です。

 

しかし、実際に作成をする際には、民法その他の法律が絡んできますので、遺言書の作成にあたっては弁護士や司法書士など専門家への相談が必須です。

 

また、相続税・贈与税の対策については、当事務所でも行っておりますので、是非ご相談ください。

 

お問い合わせはコチラ

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ