• 2025.03.12

税務調査の結果に納得できない!納税者の権利や利益を守る不服申立制度とは?

 

今回は、納税者の方々が税務調査を受け、税務署の調査結果に納得できない場合に行える

不服申立制度について述べてみたいと思います。

 

税務調査における不服申立制度とは?

 

税務署の税務調査の結果、その指摘事項について納得できれば、通常、修正申告書を提出し、追徴課税分の税額を納税し、加算税、延滞税の通知に基づき、その納付をもって調査は終わります。

しかし、指摘事項に納得できず、修正申告はできないということになると、税務署長は、更正処分等を行うことになります。

そうすると、納税者としては、指摘事項について納得がいかないわけですから、税務署長に対して、更正処分等の取消しを求めることになります。

税務署長の処分については、一部の例外を除いて、大部分が不服申立てを経た後でなければ、訴訟を提起することはできないとされています。

 

不服申立制度を利用できる人はどんな人?

 

不服申立てをすることができるのは、税務署から以下のような処分を受けた方です。

1.納付税額を増加させる更正処分を受けた方

2.納付税額を決定する決定処分を受けた方

3.更正の請求に対して、更正をすべき理由がない旨の通知を受けた方

4.加算税の賦課決定処分を受けた方

5.青色申告承認の取消処分を受けた方

6.差押等の滞納処分を受けた方

7.納税告知処分を受けた方

 

なお、不服申立てを行うことができるのは、上記の処分を受けた方で、以下の立場に該当する者に限られます。

1.納税者本人

 ・法人の代表者、個人事業主、給与所得者など

 ・直接税務署から課税処分を受けた人

2.相続人

 ・被相続人が受けた税務処分に対して不服申立てを行うことが可能

3.納税者の税理士や弁護士などの代理人 ※

 

 ※代理権を証明する書類(委任状など)が必要

 

税務調査結果に納得がいかず不服申立を行う場合の流れ

 

税務調査の処分に納得ができない場合、どのように不服申立てを行う場合の流れをお伝えします。

 

税務調査を受けると、調査の結果が通知され、指摘事項があった場合には、修正申告を求められます。

納得ができない場合には、従わない旨を伝えることができます。

この場合、税務署長は更正処分を行います。

更正処分に不服がある場合には、①税務署長又は国税局長に対して再調査の請求、②国税不服審判所長に対して審査請求、を行うことができます。

 

①再調査の請求

 申立方法:再調査の請求書を所轄の税務署長又は国税局長に提出

 期限:処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内

 

再調査の請求が受理されると、税務署長又は国税局長は処分内容について、調査・審理を行い、その結果を納税者に再調査決定書にて通知します。

この再調査は、処分を下した担当者こそ違うものの、同じ税務署・国税局に処分の見直しをしてもらうことになるため、納税者の主張が受け入れられにくいというのが正直なところです。

 

②審査請求

 申立方法:審査請求書を国税不服審判所の支部又は支所に提出

 期限:再調査請求をした場合⇒再調査決定所の送達を受けた被の翌日から1か月以内

    審査請求を直接行う場合⇒処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内

 

 

国税不服審判所とは、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行うことを目的に設置された国税庁の特別機関です。

国税庁の管轄下にありますが、税務署とは分離して運営され、公正な判断を下すことが求められています。

国税不服審判所では、原則として3人以上の審判官(税務の専門家)が審理を担当し、納税者、処分を行った税務署等側、双方の主張を確認し、必要に応じて証拠の収集・分析を行います。

この審理は、通常1年以内で行われ、裁決が下されます。

 

不服申立による審査請求を行っても納得できない場合はどうなる?

 

国税不服審判所の裁決に納得できない場合、裁判所に行政訴訟(取消訴訟など)を提起することが可能です。

ただし、訴訟の起源は、裁決書を受け取った日から6ヶ月以内と定められています。

 

また、国の訴訟で納税者が勝訴する割合はかなり低くなっています。

国税不服審判所で、税務の専門家が公正な立場で判断した裁決を経ているため、覆すのは

難しい状況となっています。

提訴をするかどうかを検討する際には、この事実も考慮すべきと言えるでしょう。

 

まとめ

 

いかがでしょうか。

処分の結果を覆すことは難しいというのが正直なところですが、納得ができない場合には、これらの制度があるということを知っていただけると幸いです。

 

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