• 2019.07.31

税務調査当日の対応について

 

福島会計の野崎です。

 

今回は、元国税調査官の経験から、税務調査当日の対応などについて、お話ししたいと思います。

 

(概況調査)

当日午前10時ころに、調査官が会社を訪問します。

まず、世間話から始まります。

もちろん、この世間話も、調査の一環ですので、余計なことまで言葉にしてしまい、税務調査の範囲が広がったり、まったく問題にないところが問題として受け取られたりするおそれもありますので注意が必要です。

 

ちなみに、概況調査時の調査官を観察することで、今回の税務調査のポイントを読み取ることができる場合があります。

特定の項目のみを詳しく聞いてくる場合は、準備調査で問題意識を持っていた項目である可能性があります。

 

(経理状況の確認)

概況調査の後は、経理の流れを確認します。

売上や仕入、経費が、どの資料をもとに、誰によって、どのタイミングで記帳され、どのような会計データにつながるのかという一連の流れをヒアリングします。

 

(帳簿調査)

まず、事前に依頼していた資料の準備状況の確認をします。準備資料の確認を通して、さまざまな質問があります。

調査官の最終目標は、課税額が正しいかどうかの確認ですので、売上が過少に計上されていないか、個人的な支出が経費に計上されていないか、償却資産にもかかわらず経費処理していないか、などで検証されます。

 

たとえば、売上計上時期のチェックのために、まず、収益の計上基準を確認し、出荷基準の場合は期末日に近い出荷伝票をチェックして売上に適正に計上されているか確認します。

必要に応じて、売上入力担当者にヒアリングを行う場合もあります。

 

経費の調査は、たとえば、交際費の計上基準を確認して、会議費や福利厚生費等の中に交際費に該当する支出がないか確認します。

 

(現況調査)

調査官が社長等についていき、金庫や机、ロッカーの中を確認(現況調査)する場合があります。

現況調査によって重加算税の賦課につながる資料が見つかることがあります。

現況調査を避けるためには、調査官から提示の要求が想定される資料は、あらかじめ準備しておき、あやしまれないことが重要です。

 

(現物確認調査)

調査官が、棚卸資産や貯蔵品、固定資産等の会社の資産を実際に現場に行って確認する場合がありますが、倉庫に行ってみたところ計上されていない商品の在庫があったり、あるはずの在庫が消えていたりすることがあります。

 

(反面調査)

反面調査とは、調査対象者の取引先に対して実施される税務調査のことです。

調査官の質問に対し、あいまいな答弁を繰り返したり、帳簿や証憑が保存されていなかったり、記帳が不正確な場合、調査官は十分な調査ができないと判断し、反面調査の可能性が高くなります。

 

このように、税務調査は様々な方法で行われるため、必ずしも、事前通知の際に告げられた予定日数で終わるわけではありません。

予定期間で終わらずに、納税者に質問を投げて、もしくは、調査官が持ち帰って内部検討をして会社に後日来ることもよくあります。

後日の来社を避けるためには、調査官からの資料要求や質問に対して、できる限り迅速に対応することが必要です。

 

(質問応答記録書)

最近の税務調査で大きな論点となるひとつに「質問応答記録書」があります。

これは、課税要件の充足性を確認するうえで、事実関係の正確性を期すため、その要旨を記録し、調査官が税務署長に報告するために作成する行政文書のことです。

 

しかしながら、実際は、この記録書を作成する調査官の本当の目的は、「調査時に重加算税の対象となり得るような事案が発覚したが、客観的な証拠資料がない。」といったような場合、その内容を記録し、納税者からの署名・押印を得ることで、これを証拠資料として課税することにあります。

調査官が重加算税にしたいときには、記録書には、次のようなワードが入ります。

 

  • ~を仮装して、~を隠ぺいして
  • 意図的に~、あえて~
  • 事実と異なると知りながら~
  • 不正の目的で~
  •  

質問応答記録書は、法律上、必ず作成しなければならない文書ではありませんので、納税者がサインする義務はありません。ご注意ください。

 

税務調査について、疑問点等がございましたら、何なりとご連絡をお待ちしております。

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