業務上横領が発覚したらどうする?どうなる?
2021.06.09
業績悪化改定事由による役員報酬の減額
先日、4都道県での緊急事態宣言が解除されました。
解除までたどり着いたのも、医療従事者をはじめとする多くの方々の献身的な活動によるものであり、
それらの方々に対して、改めて感謝申し上げます。
また、新型コロナウイルス感染症により、経営状況が悪化している会社経営者の中には、
自身の役員報酬の減額を検討されている方も多いと思います。
しかしながら、従業員の給与と異なり、役員報酬の減額は法人税法上の注意が必要です。
まず、「労働の対価」として支払われる従業員の給与と異なり、「職務執行の対価」として支払われる役員報酬は、
下記の3つのいずれかにも当てはまらない場合や、不相当に高額な場合は、法人税法上損金として認められません。
①定期同額給与
1か月以下の期間ごとに支給される給与で、その事業年度の各支給時期における支給額⼜は手取額が同額である給与その他一定の給与。
②事前確定届出給与
①⼜は③以外で、あらかじめ定めた支給時期や支給額等に基づき支給する給与等
③業績連動給与
業務を執⾏する役員に対して支給する一定の指標等に基づき連動する給与で、一定の要件に該当するもの
特に中小企業で多い「①定期同額給与」の場合は、「会計期間開始の日から3か月以内」等の一定の要件に当てはまる場合を除き、事業年度の途中で改定した場合は、改訂前後の差額(減額部分)が損金として認められません。
これは、減額前の役員報酬が本来の役員報酬に上乗せして支給していたとみなされるためです。
しかし、例外として、法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」)により、改定を行う場合は、損金として認められ、今回の新型コロナウイルスによる経営状況の悪化もこれに含まれます。
なお、「業績悪化改定事由」に当てはまるかどうかについては、通達により、以下のように定められており、
単に業績が悪化したのみの理由で認められるものではありません。
【参考】(抜粋)
(経営の状況の著しい悪化に類する理由)
9-2-13 「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。
また、役員報酬を改定した事業年度の各支給時期における支給額⼜は手取額が改定前と後で共に、それぞれ毎月同額であることが必要になります。
例えば、3月決算の会社で「業績悪化改定事由」により10月から役員報酬を50万円から30万円に減額した場合、9月までは毎月50万円、10月から翌年3月は毎月30万の同額である必要があります。
今回の新型コロナウイルスの影響により、業績が悪化する企業が多い中、
国税庁でも新型コロナウイルスに関するFAQで「業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額」に関する事例を記載しています。(P37、P38)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf
FLAIRでは、今後も役員報酬額に関する税務上の相談をはじめ、新型コロナウイルスにより影響を受けた経営者の方々を税務・経営面から支援してまいります。