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2022.06.01
給料を増やして税額控除を受ける~所得拡大促進税制~
皆様こんにちは、山田です。
12月10日に令和4年度税制改正大綱が公表されました。
その中で、岸田総理がいう新しい資本主義の具体的な目標である「3パーセントを超える賃上げ」を実現するための施策として、中小企業者等における所得拡大促進税制(大企業向けも含めて「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(措法42の12の5))について、見直しが行われます。
今回は中小企業者向けの所得拡大促進税制についてみてみます。
所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、雇用者給与等支給額が前年度に比べて1.5%以上増加させた場合、その増加額(雇用者給与等支給増加額)に控除率を掛けて算出した金額を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。
令和4年度改正では、適用要件、税額控除の対象は変更せず、控除率が3段階(15%・30%・40%(現行:15%・25%))になります。
今回紹介しました令和4年度改正については、国会での議決を経て令和4年4月1日以後開始事業年度からの 適用となる予定です。
本制度は令和3年度改正においてもコロナ禍を踏まえた制度改正が行われており、令和3年3月以前に開始した事業年度については、今回紹介した改正前の適用要件とも要件がが異なりますのでご注意ください。
適用要件及び基本的な控除率が15%という部分は改正前後で変わりませんので、当期と翌期の損益の予測をして賞与の支給や昇給の時期を検討すると良いでしょう。
税額控除を受けるためには、控除する前の段階で控除額を上回る税額が生じていなければ控除の効果を十分に受けることができません。
つまり、税務上の所得が生じている必要があり、そのためには通常は会計が黒字である必要があります。
昇給後も黒字を確保するために粗利益がどの程度必要となるか?
その粗利益を実現するために売上はいくら必要となるかなどを検討することになります。
また、損益計算書のみを検討していると経営の視点が短期的になってしまうという点にも注意が必要です。
良い会社というのは、良い貸借対照表の構造を持っています。
簡単に言えば現預金が多く負債が少ない構造です。
そのような貸借対照表にするために単年度の損益計算書の収益構造を理想に近づけながら、現預金を増やしていかなくてはなりません。
貸借対照表の構造を作り上げるとういう長期的視点と、損益計算書の収益構造を単年度でも追いかけていくという短期的視点のバランスをどう取るかが重要です。
そのためには、中長期計画を作成してそれを短期計画に落とし込んでいくのが理想です。
福島会計では経営計画作成のお手伝いやそれ以前の財務諸表の読み方使い方がわかるセミナーなども行っています。
ぜひ弊社のサービスをご利用いただき、お客様の健全な成長発展を実現しましょう。