• 2022.06.15

要件を確認して活用を!中小企業投資促進税制とは?

 

福島会計の荘です。

企業内生産性向上の目的などで、設備の取得が必要になった場合において、中小企業ではどうしてもその取得による金銭的負担が重くなってしまいます。
そこで表題の「中小企業投資促進税制」という、設備投資に対しての税制優遇制度が施策として設けられています。今回はその概要や適用要件についてご説明致します。
かなり細かな要件や但し書きは省いていますので、下記で概要をご理解頂けましたらこちらの国税庁HPもご参考にして下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5433.htm

 

⑴概要
中小企業等が新品の機械等を取得し、指定事業にて用いる場合は、その使用開始した事業年度において「特別償却」または「税額控除」が認められます。

⑵対象期間
現状では、令和5年3月31日までの間に取得することとなっています。

⑶要件
①適用対象資産
適用するためには、資産の種類と金額等による要件があります。
・機械装置 1台160万円以上
・測定、検査工具 1台120万円以上(複数ならば1台30万円以上かつ合計120万円以上)
・一定のソフトウェア 1点または複数合計70万円以上
・貨物自動車 総重量3.5トン以上
・内航船舶

②指定事業
上記の対象資産を以下のいずれかの事業で使用している必要があります。以下に指定事業を示しますが、かなり多くの企業がいずれかに該当しているのではないかと思われます。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

⑷特別償却または税額控除とは?どう違う?
①特別償却:初年度につき通常通りの減価償却に加えて償却できるというものです。取得価額の30%が減価償却費に加算できます。
②税額控除:法人税額から直接一定額が減額されることをいいます。この制度の場合は取得価額の7%となります。

まずこちらの制度で対象資産の取得の要件を満たしたら、一般に上記の①②についてどちらを適用するか、検討していくこととなります。
ではどのような違いがあるかについてですが、特別償却のとらえ方としては課税の繰延となります。通常ならば資産を取得してから毎年計上していく普通償却額について、前倒しして償却するような方法のため、償却期間全体を通しての償却額合計は同じです。初年度のみ税額負担を減らしたいかどうか、という観点に基づいて選択することとなります。
一方で税額控除は、減価償却は通常通りの金額で損金算入されますが、さらにその期の法人税額から直接一定額が控除されることで、効果としては永久的に見て税額負担が軽減されているといえます。
いずれにせよ、実際の取得時にはそれぞれを適用した際にどのように税額に違いが出るかをシミュレーションするのがよいと考えられます。

 

いかがでしたでしょうか?
上記で制度の概要についてご説明してきましたが、細かな条項もありますので、高額な資産を取得する場合には税理士にきちんと情報共有しておき、制度を活用できるか確認するようにして頂ければと思います。
今回は投資促進税制についての内容ですがさらに一定の資産はより効果の大きい「中小企業経営強化税制」に該当する場合もありますので、事前の相談が非常に重要です。
福島会計でも税制面から様々なアドバイスを行っておりますので、ぜひお気軽にご相談下さい。

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