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2022.06.01
極ZEROの再出発
ビール系飲料をこよなく愛する方々には影響の大きいニュースではないでしょうか? サッポロビール社の売れ筋商品である「極ZERO(ゴクゼロ)」が「第3のビール」ではなく「発泡酒」であると国税庁から指摘され、「第3のビール」としての製造を終了することとなりました。 これにより、サッポロ社は製造方法を見直したうえで、第3のビールとしての“再挑戦”ではなく、発泡酒として“再出発”することを選択するようです。
極ZEROは、世界初のプリン体ゼロ、糖質ゼロをうたい、低価格志向に健康志向も取り込み人気を得た商品でした。 通常店頭価格(350ml)で比較すると、ビール:220円、発泡酒:165円、第3のビール:140円と、安さは際立っており、この変更による再出発が一般消費者に受け入れられるかは興味深いものがあります。
なお、今回指摘されたのは酒税法上の区分の取扱いであり、同商品の製造過程に関する内容であることから、サッポロ社・国税当局双方とも「営業秘密」「守秘義務」として細かな内容は明らかにされていませんが、そもそもビール系飲料にかかる酒税率の歴史は約20年前に遡ります。
約20年前にビールの主原料である麦芽の比率が低い発泡酒を開発し、適用される酒税率を低くして価格を抑えました。 その後、税制改正により発泡酒の税率が引き上げられますが、ビールメーカーも更に麦芽比率を低くし、引続き安い発泡酒を開発。 再度の税制改正で発泡酒の税率が引き上げられると、今度は発泡酒にスピリッツを加えた第3のビール(他にも麦芽等を原料に使用しないものも第3のビールと呼びます)を開発します。 この間約10年。その後各社が第3のビールの開発を進め、今に至ります。
日本のような原料成分や製法により税率を適用する仕組みもあれば、アルコール度数に応じて税率を決める国もあり、酒税一つとっても最適な税制度を見出すのは難しいようです。 複雑な酒税法の取扱いにも屈しないビールメーカーの開発努力のおかげでおいしいお酒が楽しめていることに感謝したいですね。