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2024.05.01
在職老齢年金とは?厚生年金受給者を雇い入れる場合の注意点を解説!
少子高齢化が急速に進展し労働人口も減少する中、60歳以降の雇用は増加傾向にあり、特に60歳の定年後雇用は主流となりつつあります。高年齢者雇用安定法という高年齢者が活躍できる環境の整備を目的とする法律によって企業は65歳までの雇用機会を確保する義務に加え、70歳までの就業機会を確保するように努めるよう義務化されました。
60歳以降の方を雇用される際に注意したいのは「在職老齢年金制度」という仕組みです。簡単に言うと、働きながら厚生年金を受給している場合にある一定の額を超えた場合、年金額の一部または全部が支給停止(後日の支給もない)される制度です。今回はそんな在職老齢年金の仕組みと厚生年金受給者を雇い入れる場合の注意点について解説します。
60歳以降の従業員を企業が雇用する場合でも、厚生年金保険に加入させなければなりません。このように厚生年金に加入しながら年金を受給する老齢厚生年金を在職老齢年金といいます。
賞与も含めた賃金と年金額を計算し基準額月額51万円を超える場合
51万円を超えた金額の半分の額が年金額より支給停止されます。
この支給停止される期間を支給停止期間といいます。
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が51万円※を超えている期間
※令和7年度の支給停止調整額
支給停止額=(①基本月額+②総報酬月額相当額-③51万円)×1/2
①基本月額とは
老齢厚生年金(年額)を12ヵ月で割った額
注意)在職老齢年金の計算に使用する「年金の1ヵ月分」は、老齢厚生年金の加給年金額や経過的加算、老齢基礎年金の額を除いて算出することとなります。
②総報酬月額相当額とは
(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与の合計額)÷12ヵ月
注意として、給与1カ月分に相当する金額は、実際の支給額ではなく、厚生年金の
標準報酬月額という点です。
③令和7年度の支給停止調整額
支給停止額の計算例
《基本月額17万円、総報酬月額相当額36万円の場合》
支給停止額=(17万円+36万円-51万円)×1/2=1万円
在職老齢年金として受け取れる年金額は17万円-1万円=16万円となります。
在職老齢年金制度は、60歳以降の年金受給者が働きながら年金を受給できる制度のため賃金と年金の合計額が一定以上になると年金額が減額及び支給停止されることもあり、シニア層の就労意欲が下がるなど影響も大きいです。
そこで企業側では雇用促進のために、賃金設計や就業規則規定の見直しなどが必要になります。
少子高齢化が進み、多くの業界で労働不足が深刻化しています。最近では人手不足による倒産も過去最高を記録しており、シニア層の人材活用も重要な雇用対策案となります。在職老齢年金制度は、高齢者の就労と年金受給のバランスを考慮した制度です。
企業は、この制度の理解を深め、シニア人材の活用を積極的に検討し、福利厚生の充実や働きやすい環境整備などを通じてシニア人材が安心して働ける環境を整備することが重要ですね。