様々な給付金や協力金、助成金は課税されるのか?
2020.05.20
中小企業退職金共済-安全・手軽な従業員退職金制度-
皆様こんにちは、山田です。
日に日にあたたかくなる中、年度末が近づきあわただしい日々を過ごされている方も多いのではないでしょうか?
新年度となる4月から新入社員を迎える会社も多いかもしれません。
今回は、従業員の退職金制度として長い間利用されている「中小企業退職金共済(中退共)」についてお話ししようと思います。
過去には弊社のブログで、経営者の資産形成に使える制度として下記のものについて記載しております。
401kは経営者も従業員も利用できる制度となりますので、併せてご参照ください。
・企業型確定拠出年金(日本版401k)
・小規模企業共済
1.制度の概要
・事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付することにより、従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われます
・常時使用する従業員の数が300人(卸売業・サービス業は100人、小売業は50人)以下の企業(個人企業含む)が加入可能
・掛金月額は、5,000円から3万円まで16種類で従業員ごとに選択可能
・国の機関である独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営
・加入従業員数は約361万人、資産運用残高は約5.3兆円(令和4年1月現在)
・退職金等一時金の平均は約133万円(令和3年12月)
2.メリット
(1)掛金を所得控除
掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税となります。
※資本金または出資金が1億円を超える法人の法人事業税については、外形標準課税が適用されますのでご留意ください。
(2)共済金は退職所得(分割受け取りの場合は雑所得)
一括受け取りの共済金は、退職所得として取り扱われ、退職所得控除後の金額の1/2が課税対象となり、課税が優遇されます。
退職所得控除額は通常、退職者の勤続年数に応じ求めますが、中退共制度の場合の勤続年数は、退職金額の計算の基礎となった期間(掛金が納付された期間)となります。
(3)掛金助成制度
新しく中退共制度に加入する事業主に掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成します。
その他、一定の月額変更の場合にも助成があります。
3.デメリット
(1)納付月数により元本割れのリスク
退職金は、掛金の納付月数が11月以下の場合は支給されません。また、12月以上23月以下の場合は掛金納付総額を下回る額になります。
(2)利回りが低い
予定利率は1%となっています。
401kやつみたてNISAと違い、運用商品が選べないため高い利回りは期待できません。
(参考)中小企業退職金共済事業本部「基本退職金額表」
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/sisan/sisan03.html
いかがでしょうか?
近年は投資が注目されており、個人ではつみたてNISAを活用しつつ企業では401kを導入することが増えているようですが、年齢的に超長期運用が困難な方や安定運用を好む方についてはこのような運用方法はリスクが高く適していない場合があります。
中退共制度は、掛金額と納付期間から受給額が計画でき、401kに比べてリスクが少ない点で優れた退職金制度となっております。
中退共のメリット・デメリットを把握し、401kなど他の方法とも比較して、自分の会社に合った制度をご利用になるのがよろしいと思います。
従業員が明るいライフプランを持てるように会社の将来像を描き、それを実現するための制度を会社として用意したいですね。
福島会計がお手伝いいたしますので、ご相談ください。