従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
「益税」の原因とされる納税制度を見直すことを決定
自由診療が多い医療機関を対象に益税を是正!?
政府税制調査会は医療機関の税負担が減る「益税」の原因とされる納税制度を見直すことを決定しました。
医療機関には社会保険の対象となる社会保険診療報酬とそれ以外の自由診療報酬があります。
このうち社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合には、その報酬に係る経費を「実際掛かった経費」と「概算経費(租税特別措置法第26条)」とを選択できる制度があります。
概算経費は社会保険診療報酬の金額により段階的に算出されますが、実際に掛かった経費より概算経費の方が多額の場合に、概算経費を選択すれば税負担の面で有利になります。
ある調査ではこの概算経費を適用している医療機関は60%弱あるようです。
現在は社会保険診療報酬が5,000万円以下であれば制度を適用できますが、自由診療報酬が多額な医療機関をこの制度の適用から外すそう、との見直しをするようです。
厚生労働省の調査では制度を適用した医療機関のうち総収入が7,000万円を超える層では4割以上が自由診療報酬でした。
規模の大きな医療機関では経費が低い傾向があり、実際の経費と概算経費の差が乖離し「益税」になっている可能性があることが懸念されています。
ただ概算経費が廃止された場合に「医療提供が困難になる恐れがある」とした医療機関は75%以上もあり、自由診療報酬が多額である線引きをどこにするのか不明ですが、おいそれと是正できるものでもなさそうです。
※益税・・・制度を利用することで国に納付する税金が少なくてすむ差額分
消費税の簡易課税制度(業種を5つに分け経費を概算で算出する)も「益税」が指摘されており、見直しがすすむかもしれません。