役員退職金を現物で支給する場合
2021.11.24
税務調査対象の選定について
こんにちは。
野崎でございます。
「税務調査にお伺いしてよろしいでしょうか?」
いつかかってくるか分からない税務署からの電話に不安を抱いている方は多いのではないでしょうか?
(誰が選定するのか?)
税務調査の対象となる法人(個人事業主)の選定は、原則、税務署の法人(個人)課税部門の統括国税調査官という管理職が行います。
そして、統括国税調査官は、原則として、自ら税務調査には行きません。
統括国税調査官は、部下に対し税務調査の指令を行い、その進捗状況について復命を受け、今後の調査展開等について指示を行います。
(どのように選定するのか?)
ところで、税務署のパソコンは、国税庁の基幹システムであるKSKシステム(税務調査の選定を支援する機能等が実装)と繋がっています。
KSKシステムにおいては、様々な観点についてシステム的に分析を行い、その結果を「調査必要度」という形でスコアリングしています。
私が統括国税調査官のときは、調査必要度の高いものの中から、まず、調査予定件数の2倍程度の調査予定法人(個人事業者)を抽出し、次に、①決算書等や②蓄積された各種資料を検討し、当該予定件数まで絞り、調査選定していました。
なお、相続税の税務調査の選定の手順については、今回のブログでは省略させていただきます。
(決算書等)
税務署の国税調査官等は、少なくとも3年にわたり決算書(主として損益計算書及び貸借対照表)を分析し、異常な係数がないか確認します。
(蓄積された各種資料)
蓄積された各種資料とは、税務署が様々な形で収集・蓄積した情報です。種類としては、重要資料、資金資料、探聞情報、一般資料等があります。その中でも、統括国税調査官が個別管理している、重要資料、資金資料及び(いわゆる)タレコミ情報の有無は、調査選定の重要なポイントとなります。
重要資料とは、売上除外や架空原価等の不正計算が強く疑われる情報、です。
資金資料とは、金融機関における、怪しい入出金事績がある預金者の情報、です。
タレコミ情報とは、税務署に寄せられた様々な情報、です。
(税務調査に入られやすい業種?)
税務調査は、事業を行っている限り、いつ入られてもおかしくありませんが、その中でも税務署に目をつけられやすい業種は存在します。
「不正発見割合の高い業種」、「申告漏れ所得金額が高額な業種」など、国税庁からも公表されています。
(税務署に入られやすい法人(個人事業者)?)
税務調査に入られやすい業種でなくとも、気をつけておいた方がよい場合があります。例えば、売上急増、利益率が業界平均に比して低い、特定の経費の突出、過去に重加算税の賦課があるなどです。
(税務調査が来ないようにする方法はあるのか?)
来ないようにする方法は、ありませんが、税務調査に入る確率を下げる方法はあります。
上記のとおり、税務調査は、どの法人(個人事業主)を訪問するかは、税務署内で決定されます。したがって、税務署は一方的に来るものですが、書面添付制度を活用する方法があります。
書面添付制度とは、税理士が作成した申告書に「その作成にあたり検証した範囲を明らかにした書類」を添付する制度です。
この書面を添付している場合、税務署は、税務調査の前に、税理士に対して意見聴取します。
この意見聴取の際、税務署が目をつけたポイント(選定理由)が解消され、税務調査の必要がないと判断されれば、臨場しての税務調査が省略する場合があります。
当福島会計においても、調査省略通知をいただいた事例がございます。
書面添付制度について、疑問点等がございましたら何なりとご連絡をお待ちしております。