補助金・助成金は課税対象?税金がかかるケースとかからないケースを解説
2025.12.10
源泉徴収の対象となる報酬・料金は?税理士が解説!
外注費や業務委託費に係る源泉所得税については、
「源泉徴収が必要かどうか分からない」
「今まで特に指摘を受けてこなかったが、本当に大丈夫なのか」
といったご相談を、お客様からしばしばいただきます。
本記事では、
・どのような外注費・報酬に源泉徴収が必要なのか
・源泉徴収が必要な「支払う側」とは誰なのか
・源泉徴収税額の計算方法と、実務上の注意点
について、税理士の視点から分かりやすく解説します。
ここで取り上げるのは、一般的に「外注」「業務委託」と呼ばれる報酬に対する源泉徴収です。
そもそも「外注契約として問題がないのか」「給与との区分はどう考えるのか」といった点に疑問がある場合には、以下の記事もあわせてご参考ください。
https://www.fukushima-ta.jp/blog/extra/7709/
個人(非居住者を除く)に対しての報酬について、源泉徴収をしなければならない対象は以下のように定められています。
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払 う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
※非居住者の定めは別途ありますが、ここでは割愛します。
この中で支払が多く主に問題になるのはイやロと考えられ、今回は特にイの部分を念頭に置いて説明していきます。
上記にあるように、この対象は個人であり、原則として法人に対しての支払には源泉徴収は発生しません。
細かい事項はありますが、ここで「知らなかった!」という方は、いったん「国内の個人の士業や外注先に対して、何か報酬を支払うときには、確認が必要」とご認識頂いてよいかと思います。
イの原稿料や講演料など、という範囲には例えば以下のようなものが含まれます。
・原稿料(試験問題の採点料などは含まれない)
・書籍等の編纂または監修
・雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための写真の報酬
・グラフィック、パッケージ、ディスプレイなどのデザイン料
・講演を依頼した場合の講師に支払う謝金
・翻訳の料金
こうしたものに該当する場合は、源泉徴収を行うことが必要なのですが、
・今まで取引があって、源泉徴収をなんとなくしていなかったが業務実態から見て実は要否があいまい
・請求書にも源泉徴収のことが書いていないし、先方からも言われてないので分からなかった…
このようなケースがよく見られます。
請求書への源泉徴収の記載は、通例としてはありますが特段定めはないので、記載がなくても本当は必要だった!ということはままあります。
昨今はクラウドソーシングサービスも増え、支払側受取側お互いになあなあで済ませてしまうということも見られますが、「必要かも?」と疑問が生じたら迷わず税理士に聞いて判断を仰ぎ、適宜取引先とすり合わせをするのがよいと思われます。
源泉徴収の対象となる支払いを行う側(=源泉徴収する義務がある人)を「源泉徴収義務者」と呼びます。
原則: 人を雇用して給与を支払っている会社・個人事業主は、すべて「源泉徴収義務者」です。
例外: 個人事業主のうち、従業員を雇用していない場合(一人で事業を行っている、または生計を一にする家族従業員のみ)は、源泉徴収義務者ではありません。
この場合、上記で挙げた「報酬・料金」(例:税理士顧問料やデザイン料)を支払っても、源泉徴収を行う必要はありません。
ただし、この個人事業主が(家族以外に)従業員を1人でも雇い、「給与」の支払いを始めた時点で、その給与と他の報酬・料金の両方について源泉徴収義務者となります。
請求書に明確に内容と源泉徴収税額の記載があれば、そのまま記載通りに徴収し支払えばよいですが、支払う側が計算する場合は
支払金額により
100万円以下の場合 A×10.21%
100万円超の場合 (A-100万円) × 20.42% + 102,100円 (1円未満切り捨て)
となります。
この支払金額の部分ですが、計算にあたっては
・取材費、車代などの名目で支払ったものも計算対象の支払金額に含める
・交通費も原則含める
(※支払者が直接ホテルなどに支払った場合は含めなくてよい)
・原則として消費税込で計算する
(※消費税等の額が本体金額と明確に区分されている場合には税抜でもよい)
という点をおさえて頂ければよいかと思います。
計算し徴収した源泉所得税ですが、こちらは支払った月の翌月10日が納付期限となっています。
給与に係る源泉所得税について納期の特例(1月と7月にまとめて納付)としている場合でも、報酬については特例がないので別途毎月対応することとなります。
(※ただし、弁護士・税理士等の士業に対する報酬については、給与に係る源泉所得税と同様に「納期の特例」を適用することができます。)
支払が発生したら源泉徴収後の金額を支払う→翌月10日までに、支払った報酬と源泉所得税の額を集計して納付するというサイクルがあり、1月頃には、取引先より昨年分の報酬を集計した支払調書の発行の希望があれば、年間集計したものをまとめて渡したり、ここでは割愛致しますが税務署へ提出する「法定調書」の提出範囲に該当する場合はそちらも対応する、ということになります。
法定調書については、こちらの記事もご参照下さい。
https://www.fukushima-ta.jp/blog/management/7669/
納付手続きについては、対象のものがあれば毎月対応しなければなりませんので、紙の納付書ではなく電子納税が便利です。
参考までに、電子納税の一つである「ダイレクト納付」について、少し古いものですが弊社ブログと、e-taxのHPを載せておきます。
登録しておけば簡単な操作で毎回即時でも口座振替ができます。
https://www.fukushima-ta.jp/blog/tac/5289/
https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/tetsuzuki4_1.htm
よくある疑問についてお答えします。
Q1. 消費税(インボイス)は対象金額に含める?
請求書で「報酬額」と「消費税額」が明確に区分されていれば、「報酬額(税抜金額)」のみを源泉徴収の対象にできます。
OK例: 請求書に「報酬 100,000円」「消費税 10,000円」と記載 → 100,000円を対象に計算
NG例: 請求書に「報酬 110,000円(税込)」としか記載がない → 110,000円全体を対象に計算
インボイス制度開始後は消費税額が明記されることが一般的ですが、免税事業者からの請求書などでは注意が必要です。
Q2. 交通費や宿泊費は対象に含める?
原則:報酬・料金と一緒に支払う交通費・宿泊費(いわゆる「お車代」)も報酬・料金の一部とみなされ、源泉徴収の対象に含めます。
例外: 報酬の支払者(発注側)が、交通機関やホテルなどに交通費・宿泊費を「直接」支払った場合は、報酬・料金に含めなくてよいとされています。 (例:発注側がライターの新幹線チケットを手配・購入して現物を渡す)
Q3. 「復興特別所得税」とは?
2013年(平成25年)から2037年(令和19年)まで、源泉徴収する所得税と併せて「復興特別所得税」(所得税額の2.1%)を徴収することが義務付けられています。
実務上は、2つを別々に計算するのではなく、合計した税率を使います。
報酬・料金の源泉徴収税率(100万円以下の場合):
所得税 10% + 復興特別所得税 (10% × 2.1% = 0.21%) = 10.21%
10万円の報酬なら、10,210円を源泉徴収します。
いかがでしたでしょうか?
概要や一連の手続きの流れについてご説明しましたが、細かな判断は難しいところも多く、実際には税理士に相談しながら源泉徴収漏れ、納付漏れなどがないように対処していく必要があります。
ご不明点がありましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。
監修 税理士法人FLAIR 代表社員 福島美由紀