• 2022.09.21

インボイス制度、こんな場合はどうなる?分かりづらいポイントを整理!

 

福島会計の荘です。
以前弊社ブログでも概要をご説明したインボイス制度。
https://www.fukushima-ta.jp/blog/tac/6993/
今月8日に公表された、日本商工会議所による『「消費税インボイス制度」と「バックオフィス業務のデジタル化」等に関する実態調査結果』では、回答者の4割がインボイス制度に対し特段準備をしていない、と回答したそうです。
まずは、概要についてまだご存知でない方は、上記のブログをお読み頂ければ幸いです。
その上で請求書の発行側、受取側それぞれ個別の取引について検討してみると分かりづらい部分も多く、「この資料も対応する必要があるの?」というケースもあるかと思います。
今回はお客様からご質問頂いたものや、判断に迷う方が多そうな取引をいくつかQ&A形式でピックアップしてみました。
※参考:国税庁 インボイス制度に関するQ&A https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm

 

<Q1>普段、少額の交通費の支払などがたくさんあるけど、いわゆるインボイス(適格請求書)は全部の取引で必要になるの?

下記のような取引は、請求書等の保存が必要なく、帳簿に名称、年月日、取引内容、金額、相手方の住所等の記載をすることで仕入税額控除が認められると規定されています。
・3万円未満の公共交通機関の料金、自動販売機等からの商品の購入
・ポストに投函する郵便切手類の料金
・従業員の通勤手当、出張旅費
こちらは一例となりますが、現行の制度と共通する部分もありますので、改めて取引を見直してみるのがよいかと思います。

 

<Q2>契約書をもとに口座振替で家賃等を支払っている場合、支払ごとの請求書・領収書は受け取っていないけどどうするの?

この場合は、契約書につき適格請求書発行事業者の登録番号も合わせて記載しておく(※請求書の必要記載事項の中で、取引(各回の支払)の年月日以外については記載されている状態にする)ことで、あとは各回の支払につき通帳の保存をしておけば、要件を満たすとされています。
制度開始以前の、令和5年9月30日以前からの契約についても登録番号は必要になりますので、別途、登録番号の記載が不足していた事項の通知書を契約書とともに保存することとなっているようです。
ここについては当てはまる事業者様がほとんどかと思いますので、今一度ご確認下さい。

 

<Q3>売上について、返品を受けた又は値引きをした場合には対応が必要になるの?

その売上について適格請求書を交付していた場合には、返品・値引きをした際に「適格返還請求書」も必要になる、と規定されています。
記載事項自体は、適格請求書と似た項目になっています。

① 適格請求書発行事業者の氏名・名称及び登録番号
② 返品・値引きを行った年月日、その基となった売上があった年月日
③ 内容(軽減税率対象である場合はその旨)
④ 税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤ 消費税額等又は適用税率

上記②の年月日については、日々返品がある等で個別に発行することが難しい場合には、月単位や、一定期間での集計された記載で差し支えないようです。

また、値引きについては、上記のように別途請求書を作成するという対応は売上があった後から値引きをした場合となります。
適格請求書を発行する際に同時に端数などを値引きする場合には、単にその適格請求書に値引き後の金額を記載すれば事足りる形となります。
ただし、軽減税率と標準税率の両対象取引が1つの請求書で混在している場合には、全体の金額に対する値引き額があれば税率ごとに按分することと規定されています。
なるべく手間のない形式を検討する必要がありそうです。

 

<Q4>今後問題になりそうな取引は?
明確に国税庁からの回答が公表されているわけではありませんが、今後取り扱いに注意が必要になる可能性がある取引の一つとして銀行取引があります。
今年4月に全国銀行協会がインボイス制度への対応指針を加盟行に対して通知したということで、まだ各行の対応は不明な部分が多いですが、以下のような検討事項が出てくるかと思います。
・インボイス制度の規定によるとインターネットバンキングの振込手数料は銀行からインボイスの交付を受ける必要があるのでは?
・ATM等の利用料は請求書等の保存は不要(帳簿のみの保存)になるが、その場合相手方の住所の記載はどうするのか?
・振込手数料を売手が負担する場合には適格返還請求書が必要になるのでは?
上記以外にも、規定に則った場合実務上対応が困難と考えられるものもあり、このような点は引き続き動向を注視して弊社からも情報発信してまいります。

いかがでしたでしょうか。
令和5年10月の制度開始も近づいてまいりましたので、再度、取引を整理する必要があるかと思います。
不明点やお困りの点がございましたら、ぜひ福島会計にご相談下さい。

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