役員退職金を現物で支給する場合
2021.11.24
インボイス制度導入で国外事業者との取引にどう影響するか
スタッフの永山です。
弊社ブログで以前よりご紹介しているインボイス制度についてですが、まだ読まれていない方は是非ご一読ください。
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インボイス制度というと、国内事業者間の取引に注目が集まると思いますが、今回は視点を変えて、国外事業者との取引の場合はどうなるのかについて取り上げていきたいと思います。
(1)取引先に国内に事業所を持たない国外事業者がいる場合
国内に事業所がない国外事業者であっても、国内で資産の譲渡等をおこない、かつ、その課税期間(個人の場合は年、法人の場合は事業年度となります。)の基準期間(前々年または前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の納税義務者となります。こちらに関しては、インボイス導入前とは変わりがありませんが、国内事業者と同様に適格請求書登録事業者の登録が必要となります。ですので、国外事業者と国内で取引をおこなう場合はその国外事業者が消費税課税事業者であるか、適格請求書登録事業者であるか確認をする必要があります。
(2)取引先に電気通信利用役務の提供をおこなう国外事業者がいる場合
・電気通信利用役務の提供とは
電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われるサービスの提供のことをいいます。そのサービスの提供が国内の事業者・消費者に対して行われるものについては、国内、国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されることとされています。
(注)平成27年10月1日以後、国外から行われる「電気通信利用役務の提供」についても消費税が課税されることとなっています。
・国外事業者から電気通信利用役務の提供を受けた場合
国外事業者から電気通信利用役務の提供を受ける場合、①事業者向け電気通信利用役務の提供と②消費者向け電気通信利用役務の提供の2つに分類されます。
①事業者向け電気通信利用役務の提供
何が事業者向けに該当するのか判断が難しいものもございますが、例示すると集客目的のために利用するFacebook等の広告費が挙げられます。国外事業者から事業者向けのサービスの提供を受けた国内の事業者が申告納税義務を負う必要があり、仕入税額控除が認められるリバースチャージ方式が採用されています。
リバースチャージの対象となる事業者は、課税売上割合95%未満の本則課税により申告を行う事業者となりますので、該当する事業者は少ないと思われます。また、インボイス導入において特に影響はありません。
②消費者向け電気通信利用役務の提供
事業者向け電気通信利用役務の提供以外のサービスが消費者向けに該当します。例えば、AmazonやTikTok等のネットサービスを受ける場合が挙げられます。
現行の制度上、消費者向けの取引については、国税庁の登録国外事業者名簿に登録されている国外事業者からサービスの提供を受けたものに限り、仕入税額控除が認められています。
これを登録国外事業者制度といいます。
しかし、インボイス導入後にはこの登録国外事業者制度は廃止されます。
国外事業者が国内で適格請求書発行事業者の登録を受けるには、「適格請求書発行事業者の登録申請書(国外事業者用)」を提出する必要がありますが、国外事業者が令和5年9月1日において消費者向け電気通信利用役務の提供を行う登録国外事業者としての登録を受けている場合は、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされるようです。
インボイス制度開始までには、登録国外事業者に該当しない国外事業者が適格請求書発行事業者となるのかを念のため確認する必要があります。
いかがでしょうか。
国内事業者だけでなく国外事業者との取引を行っている場合も、相手方が適格請求書登録事業者になっているのか確認することが必要ですね。
インボイス制度について、理解しづらいことが多いと思いますが、確認したいことがございましたらお気軽にご相談ください。
参考:国税庁HP、消費税法第4条の3
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6118.htm