事業税とは何か?簡単に解説!
2024.10.16
補助金・助成金は課税対象?税金がかかるケースとかからないケースを解説
近年、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金、雇用関係助成金など、多くの企業や個人事業主が積極的に支援制度を活用するようになりました。
しかし、補助金・助成金は「税金がかかるのか」「申告は必要なのか」といったご質問が非常に多く、誤解も広がっています。
実際のところ、補助金・助成金の税務は制度ごとに扱いが異なり、さらに 課税対象になるもの・ならないもの、不正受給時の税務、返還した場合の扱い など、ポイントを押さえないと誤った処理をしてしまう危険があります。
補助金・助成金は原則として課税対象です。
これは、補助金が事業活動に関連して受け取る「収入」であるため、利益の一部として扱われるからです。
法人が補助金を受給した場合は 益金(収益) に算入され、課税所得の一部となります。
個人事業主の場合は 事業所得の収入 に含まれるため、確定申告の際に計上が必要です。
補助金=「国からのプレゼント」ではないため、原則として税金がかかることをまず押さえておきましょう。
補助金そのものは 対価性がないため消費税は不課税 です。
ただし、補助金で購入した設備・備品などは通常通り仕入れ控除の対象になります。
補助金・助成金などで課税対象になるものとならないものがあります。
具体的にどれが課税対象になるのかならないのかを確認してみてください。
次のような「事業活動を補填する」目的の補助金は、原則として課税されます。
・事業再構築補助金
・小規模事業者持続化補助金
・IT導入補助金
・雇用関係助成金(キャリアアップ助成金 等)
・ものづくり補助金
これらは売上の補填、経費の補填、事業活動の維持に関わるため 益金(収入) として扱われます。
補助金であっても、次のような性質の場合は「非課税」と判断されることがあります。
・災害被害を補填するための見舞金
・損害賠償に該当する給付
・特定の損害を補う性質の給付金
ただし、一般の補助金制度はほぼ課税対象であり、非課税の判断には注意が必要です。
一方で、補助金・助成金についてもし不正受給等と判断された場合、以下のようなペナルティが科されます。
・受給額の全額返還
・協力金と同額の「違約金」相当額
・延滞金の追加(例えば年3%など)
・返還に応じない場合、さらに割増率での請求
・悪質なケースでは民法不当利得返還請求や刑事罰の対象
例えば、コロナ禍の際に飲食店等を対象に実施されていた感染拡大防止協力金であれば協力金と同額の違約金、いわゆる“倍返し”が規定されていたり、持続化給付金であれば年3%の延滞金と、さらに2割加算での支払義務が課されるとされていました。
では、これらの補助金・助成金を返金することとなってしまった場合はそれらの返金額は経費(損金)になるのでしょうか?
補助金を返還する場合の税務は、[不正受給が原因の返還]なのか[要件ミスなど通常の返還]なのかで大きく異なります。
法人税法55条では「不正行為に係る費用は損金不算入」とされています。
したがって、不正受給による返還金は経費計上できない可能性が高いとされています。
一方、要件を満たしていなかった・申請内容が不備だった等の 通常の返還 であれば、
事業に関連した支出として 損金算入できるケースが多い と考えられます。
所得税法37条に「所得を生ずべき業務について生じた費用」とありますが具体的判断基準は定められていません。解釈により、必要経費にならない余地がある可能性があることは、留意が必要だと思います。
・不正受給の返還は「損金不算入」リスクが高い
・加算金、延滞金が発生した場合は、その支払い証憑が必要
・補助金を受け取った年度と返還した年度が異なる場合、還付や追加納税が発生する可能性
・誤った処理をすると追徴課税のリスクがあるため、要注意
補助金・助成金は「国からの支援だから非課税」と思われがちですが、実際にはほとんどが課税対象です。事業の利益を補填する性質があるため、法人税や所得税の課税対象となり、消費税は不課税で処理します。
一方で、災害見舞金など損害賠償的な給付は非課税になることがあります。
また、不正受給が疑われると、補助金の返還だけでなく加算金や延滞金など、非常に重いペナルティを受ける可能性があります。
補助金の税務は制度ごとにルールが異なるため、不安な場合は税理士や専門家に相談し、正しく処理することが重要です。
監修 税理士法人FLAIR 代表社員 福島美由紀